昼休み。シャツにネクタイ姿のサラリーマンが、神戸市内の窓口を訪れた。
「ボーナスが出なくなったので…」
男性が借りにきたのは、新型コロナウイルスの影響で収入が減った世帯への国の特例貸し付けだ。
「緊急小口資金」(1回のみ、最大20万円)と、「総合支援資金」(月額最大20万円を複数回)の2種類があり、全国の社会福祉協議会(社協)が11月末まで受け付けている。
昨年3月の開始当初は、タクシー運転手や飲食関係者など仕事に影響がでた自営業者らの申請が目立ったという。だが、コロナ禍が長引くにつれ、もともと困窮していた世帯、高齢者、失業者、外国人らが窓口に並ぶようになった。そして今夏にはサラリーマンも。
兵庫県社協の福祉支援部長、荻田藍子さん(45)が言う。「今回、新たに見えた暮らしの困窮は、想像以上に多様で深刻だった。低所得者層がこれだけ身近に広がっていたんだ、と」
申請時期によっては、二つを組み合わせて最大で約200万円を無利子で借りることができた。
県内での貸し付けは、既に約15万件、決定金額は合計約726億円に上る。全国で4番目に多く、国内の合計は約1兆2407億円(10月9日時点)に達している。
◆
緊急小口資金も総合支援資金も、制度自体はコロナ禍前からあった。
低所得者らが対象で、2018年度の県内の実績は計175件だった。社協と借りる側が相談を重ね、生活実態に見合う「必要最小限の貸し付け」に努めてきたという。
今回、国は二つの制度の上限金額や対象世帯を拡大し、特例化した。
県社協の荻田さんは当初、今回の措置を緊急的に生活を守る「ばんそうこう」だと考えたという。
だが、初めは3カ月間だった受け付け期間を国が何度も延長すると、葛藤が膨らんでいった。「むしろ、生活再建を遠ざけているのでは」と。
国は、何よりもスピードを優先し、給与明細などの確認書類は不要になった。本人が希望すれば、減った収入以上のお金を借りることもできた。
「制度の名前は同じだが、以前とは別ものになった。この貸し付けで本当に救われる人は、どれぐらいいるのか」とつぶやくのは、神戸市内の社協職員(40代)だ。
窓口で応対しながら、胸がざわつく。今後、返済がその人の生活を圧迫するのが想像できるからだ。
もともと収入が不安定な世帯や高齢者は大丈夫か。コロナ前のように働けないと、負債だけが残る。
「もらいたいです」と言って、申請に来た人が複数いた。「借金」だという認識は、どれほどあるのだろう。
国は、住民税非課税世帯を返済免除の対象としているが、全体の一部にすぎない。
◆
阪神・淡路大震災の時も、被災者向けに特例制度が設けられた。
貸し付けられた約77億円のうち、四半世紀が過ぎた今も約3億6千万円、3584件が未償還だ。
コロナ禍の特例制度の決定金額は現時点で阪神・淡路の10倍近い。これから、長く険しい返済の道のりが控えている。(中島摩子)
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