57年ぶりの国内夏季五輪に、沸き立つ観衆はいない。それでも幕は上がった。兵庫ゆかりの日本代表選手では46人中、10人が開会式に参加。日本男子最年少の14歳、飛び込み男子の玉井陸斗(JSS宝塚)らが行進し、飛躍への決意を新たにした。
日本選手団の尾県貢総監督(加東市出身)をはじめ、夏季大会では日本選手最多タイの6度目の五輪を迎える飛び込み男子、寺内健(ミキハウス、宝塚市出身)、45年ぶりに日本男子が出場するバスケットボールのシェーファー・アヴィ幸樹(三河、西宮市出身)らが姿を現した。
開会式に参加しなかった選手たちも、それぞれに誓いを立てた。
柔道女子52キロ級の阿部詩(日本体育大、夙川高出身)は「コロナ禍という厳しい状況ではあるが、精いっぱい戦い、地元のファンや子どもたちに勇気と感動を届けたい」と思いをにじませた。「コンディションは良い。自分自身が一番輝ける大会にしたい。目標は兄と2人で金メダル」と阿部一二三(パーク24、神港学園高出身)とそろっての栄冠を目指す。
野球で2008年北京大会以来の五輪に挑む日本のエース田中将大(楽天、伊丹市出身)は「母国開催の五輪に参加できることはとても光栄。北京ではメダルに届かずに悔しかったので、金メダルを獲得できるように頑張る。日本の皆さまに、野球に夢中になってもらえるようなプレーができたら」と意欲を見せた。
セーリング女子470級の世界選手権覇者で、今大会でも優勝候補の吉岡美帆(ベネッセ、県芦屋高出身)は「今までのコンディションを崩さず、本番に向けて入念に整えていきたい。これまでやってきたことを信じて、全力を出し切りたい」と頼もしい。
「多くの方が望む大会ではなくなったかもしれません」と切り出したのは、ラグビー7人制女子の弘津悠(ナナイロプリズム福岡、星陵高出身)。「でも一人のアスリートとして、スポーツには感動や笑顔を届ける力があると信じてプレーしたい」と願いを込めた。(藤村有希子)
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