神戸

  • 印刷
伐採前の枯れたケヤキ=神戸市長田区大丸町2、大丸山公園
拡大
伐採前の枯れたケヤキ=神戸市長田区大丸町2、大丸山公園

 昨秋、「阪神・淡路大震災で焼け残ったケヤキが枯れてしまった」と、神戸市長田区の男性(56)から神戸新聞の双方向型報道「スクープラボ」に情報が寄せられた。震災の発生から17日で27年。男性は「風化させないためにも、単に切り倒すのではなく何らかの形で継承してほしい」と願ったが、倒木の危険性から結局、伐採されてしまった。記念樹を切り出す場合に前例や決まりはあるのか。調べてみた。(小野萌海)

 ケヤキがあったのは、大丸山公園(同市長田区大丸町2)。南側の入り口近くにシラカシと並んでいた。

 神戸市の情報では、2本の木は、震災による火災の被害が大きかった同区若松町3の新長田公園で焼け残った。震災の体験と復興への希望を記憶する証しとして、大丸山公園に移植。切り倒される前のケヤキには、震災で黒く焼けた樹皮がまだ残っていたという。

 男性によると、ケヤキが新芽を吹かなくなったのは、2020年春ごろ。次第に枯れていく様子を見て、21年9月に市に連絡した。市は倒木の恐れがあるとして、同年10月に伐採し、今は切り株が残る。

 男性は「新たに植樹したり、ケヤキの記録を看板に残したりすることはできないか」と要望したが、市西部建設事務所の担当者は「現段階でその予定はない」と回答。「記念樹の伐採にルールはなく、前例もなかったが、今回は危険回避のためだった。残ったシラカシは、剪定(せんてい)や肥料で保全していく」と説明する。

 男性は「震災の記憶が目に見えて残っていたのがケヤキだったのに、本当に残念」と惜しんだ。

   ◇   ◇

 神戸新聞社は、読者の投稿や情報提供を基に取材を進める双方向型報道「スクープラボ」に取り組んでいます。身近な疑問や困りごとから、自治体や企業の不正告発まで、あなたの「調べてほしい」ことをお寄せください。LINEで友だち登録(無料)するか、ツイッターのダイレクトメッセージで投稿できます。皆さんと一緒に「スクープ」を生み出す場。ご参加をお待ちしています。

【特集ページ】阪神・淡路大震災

神戸震災27年スクープラボ
神戸の最新
もっと見る
 

天気(9月8日)

  • 33℃
  • 28℃
  • 40%

  • 33℃
  • 25℃
  • 50%

  • 34℃
  • 28℃
  • 20%

  • 34℃
  • 27℃
  • 40%

お知らせ