神戸市長選が間近に迫っている。コロナ対策、子育て、高齢者施策、福祉など、同じ市民でも、立場によって気になる課題はさまざまだろう。実際に神戸市に住む記者たちが、暮らしや取材の中で感じた市政への「ギモン」を調べてみた。
■待機児童11人 そんなに少ないの?
過去最少の11人。神戸市が今年5月に発表した、保育所の待機児童数だ。「そんな少ないんや」。播磨地域から3月に転勤してきた記者は安心して、来年1月に1歳となる娘を来春から保育所に預けるつもりで区役所に相談した。すると、担当者が申し訳なさそうに言う。「残念ながら、点数が全く足りません」。希望する認可保育所への入園はまず無理だという。
点数とは、両親の就労状況に応じて付けられる「基本点数」を指す。希望者が定員を上回った場合に市が入園者を決めるための指標で、制度としてはどの市町にもある。
神戸市の場合、フルタイムで働く両親の基本点数が父母各100点となる。わが家が希望する認可保育所に入るには「実質、基本点数計200点が最低ライン」と、担当者。妻は育休中の転居で職場が遠くなり、復帰を諦めて退職した。求職活動中の妻の基本点数は、現在20点。仮に今後、フルタイムの内定が出ても上積みは50点で、計200点には届かない。
そこで勧められたのは、(1)空きのある認可外保育所に預けて就職する(2)転職前提で週2、3日の仕事に就き、当面は一時保育を使いながら希望の保育所、職場を探す。基本点数に加え、「認可外を利用中」などに付く「調整点数」を“稼ぐ”。そうして自宅や職場に近い認可保育所への入園を目指す「保活」に臨むべきだという。
再び社会福祉士のキャリアを積みたいと考えていた妻は(2)の案に、「転職を繰り返す負担が大きい」と難色を示した。しかし担当者の「実際そうされる方、多いですから」という言葉に、妻と首をかしげながら帰路についた。
では「待機児童」とは一体何なのだろうか。定義では、主に立地などの選択肢を広げて入所を希望するが、保育所に入れない児童のことだという。ここには国の基準で「特定の保育所を希望する」人は算入されない。つまり希望の保育所を絞っていて入れない、いわゆる「隠れ待機児童」が存在する。
その数え方は絞る数などにより、各自治体で異なる。保育環境、自宅や職場との距離、保育料などで、どこまでより好みするか濃淡はあるが、こうした隠れ待機児童の数も調べてみた。
神戸市では「入所希望で入所できていない児童数」のうち、「待機児童」を差し引いた1016人が該当。実に待機児童(11人)の92倍だ。
この落差に違和感を覚えて周囲に目を向けると、隣の兵庫県明石市は待機児童149人に対し、同様の隠れ待機児童は335人。同市の担当者は「『隠れ』に入る要件を絞って、実態に近い待機児童数を出すようにしている」と説明する。
神戸市は2019年度に約1400人、20年度に約900人と、保育所の受け入れ定員を増やしている。「隠れ」対策としても、需要が多い場所の定員を拡大していく「エリア調整」を進めているという。
記者もできる限り選択肢を広げて探そうと思いつつ、わがままではなく、切実な状況で「隠れ」になっている子どもが減ることを願っている。
(井上太郎)
◇ ◇
■未就学児の友だち どこでつくれば?
子育てに悩みはつきもの。普段から相談し、愚痴をこぼせるようなつながりがほしい-。親子向けの大型施設「こべっこランド」や「こべっこあそびひろば」は遠いし、日常的に立ち寄るには少しハードルが高い。未就学児や親は、どこで友だちをつくったらいいのだろう。同じ子育てをする身としても気になった。
多くの子育て関連施設を所管する神戸市こども青少年課を訪ねると、「児童館が地域密着で数も多いですよ」と教えてくれた。
児童館は市内の全中学校区に最低一つ、全部で121カ所ある。ほとんどが市の施設で、地域特性に合ったNPO法人や社会福祉法人などが指定管理者となって運営している。
原則として終日使えるが、午後からは学童保育の利用者が多いため、未就学児は主に午前中に使う。コロナ禍で孤立しがちな親子も多いらしく、緊急事態宣言時に児童館を閉めた際は、「利用したい」との声が相次いだという。
各児童館では、2~4歳児を対象にした「すこやかクラブ」(年会費3千円)も実施。登録すれば、保護者同士の交流イベントや季節行事向けの工作など、毎週ある親子向けプログラムに参加でき、横のつながりもできやすい。コロナ前の2019年度は、1981組が登録した。
ただ、そんな児童館やクラブだが、市がPRする機会はほとんどない。年1回の広報紙でクラブの募集をするぐらいだ。保育園の利用者が増える中、市は「需要がどれだけあるか分からないため」と説明する。
今年4月には「こべっこあそびひろば・六甲アイランド」(神戸市東灘区)がオープンし、同市西区でも同様の施設が整備中だ。市はこれらの施設を中心に、大学や民間業者と連携し、各地に親子が集える拠点をつくるなどの取り組みも進める。
「子育て中に孤立しないためにも、自分の住む地域で多くのチャンネルを持ってほしい」と同課。ならば、多くの施設があることやそこで何ができるかなど、情報を必要とする人に届くよう工夫してほしいと感じた。
(安福直剛)
◇ ◇
■子育て支援策 実際どうなの?
「若者に選ばれるまち」を掲げる神戸市は、さまざまな子育て支援策を打ち出している。
待機児童対策では、市営住宅跡地などを活用し、施設整備を進める。駅から離れた保育所の利便性を高めるため、駅周辺に児童の受け渡し拠点を設けて、バスで行き来する「保育送迎ステーション」も拡大させている。民間施設の保育人材獲得を後押しする、家賃支援や一時金支給もある。
出産を終えた母親へのケアや健診費助成もある。学童保育では、需要のある全施設で、夏休みなどの午前8時開所を年度内に実現させる。医療費助成も年々拡充。今月から高校生の入院費まで無料となった。
一方でこれらの施策は、人口増加という成果にまでは結び付いていない。市の人口は2011年の154万4970人(10月時点)を境に減少局面に入り、20年は151万6638人(同)で、9年間で約2万8千人減少。出生数もこの間で約2900人減り、20年は年間1万100人だった。
(初鹿野俊)

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