【コーディネーター】
■神戸新聞社パートナーセンター長 太田 貞夫氏
【パネリスト】
■神戸ファッションウィーク実行委員長「ぜんまい」代表取締役 高田 恵太郎氏
■いけばな小原流五世家元 小原 宏貴氏
■甲南大経営学部教授 西村 順二氏
■神戸新聞社パートナーセンター地域連携室長 阪本 浩之氏
太田 神戸新聞社も甲南大も神戸に根差し、活動を続けてきた。きょうは「伝統と革新が生み出す新たな価値を求めて」をテーマに、化学反応が起こるような話し合いになればと考えている。いけばな小原流はまさに伝統と革新を実践してきたと聞いている。
小原 小原流は明治28年に創流し、現在は全国に148支部、海外に56支部を展開している。初代の雲心家元は従来の線的な表現から脱し、面的、立体的に表現する「盛花」を考案した。二世の光雲家元は「出稽古」と「口伝」という教授方法を改め、テキストを作り、生徒を教室に集めて集団的に指導する新しいスタイルを確立した。さらに男性が中心だった教授職を女性にも開放し、女性の社会参加にも貢献した。利便性を追求する現代で「一輪の花、一輪の草の生命を実感してもらえるいけばな」を提案している。
太田 西村教授にはこれまでも、朝来市の竹田城跡を中心としたまちづくりを考えるビジョン委員会に参画、提言をいただいている。現場を重視したゼミでの取り組みを。
西村 ゼミ(マーケティング)では学生と街に出て、さまざまな活動を行っている。2011年から神戸・南京町で開いている「豚まんサミット」の企画に携わり、11月11日を「豚まんの日」と定め、学生が新しい豚まんの開発もしている。14年にアシックス商事と女子学生で共同開発した「就活パンプス」は、紳士服チェーン店でヒット商品になっている。また、オリジナルスイーツを開発し、9月に発売する。単に学生視点の意見を述べるだけでなく、専門のマーケティング研究成果を元に実現・実行することがゼミの地域貢献だと考えている。
太田 神戸新聞社からはパートナーセンターの取り組みを。
阪本 中堅、若手社員で神戸新聞社がこの先何を目指すべきか議論し「もっといっしょに」という基本理念ができた。15年3月に「地域パートナー宣言」を発表し、当センターが発足。課題を報じるだけでなく、行政、大学、企業などと連携し、課題の解決に取り組んでいるところだ。その第一弾が朝来市の取り組みで、地域と自治体の意思疎通を促し、竹田城跡を生かした活性化策を提案した。甲南大では文学部で編集局幹部が講義を行っている。また、毎月学生編集会議を開き、学生が書いた記事を夕刊に掲載している。
高田 皆さんの話を聞いて、神戸ファッションウィーク実行委員会としても一緒に何かできるのではないかと感じた。
太田 進取の気性、多様な文化を取り入れて発展してきた神戸だが、皆さんが考える神戸らしさ、神戸の魅力と、それをどのように発信していくのかについて、考えを聞かせてほしい。
高田 港を窓口に新しいものや文化をいち早くアレンジし、これを日本流にアレンジしてきたのが神戸の歴史だ。今後も神戸から新しいファッション、ライフスタイルを発信すべきだと思う。
小原 新しもの好きで、多様なものを受け入れる柔軟さがあり、海外を意識していることが神戸らしさではないだろうか。西洋から新しい器や花がもたらされ、生け方も変わった。一方で、自然に神が宿る古来の考え方も大切にしてきた。神戸だから今のスタイルができたと感じている。昨年はハーバード大とコロンビア大でデモンストレーションの機会を得た。日本の感性が海外でどう評価されるかも興味がある。
西村 甲南大は「都会的」「派手」「おしゃれ」という神戸と重なるイメージがあるが、内部から見ると、人と人の近接性が高く、学生の伸びしろが大きいという印象があって、外部から持たれるイメージとギャップがある。中規模ながら総合大学である甲南大の強みをうまく生かすことができれば、甲南スイーツのような甲南大らしいものを送り出し、地域に寄与できるはずだと考えている。
阪本 神戸新聞社は関西初のスポーツ紙発刊など、常に新しいことにチャレンジしてきた。進取の気性はDNAとして刷り込まれている。また、阪神・淡路大震災など3度にわたり社屋を失ったが、休刊日以外は1日も発行を休まなかったことも、神戸新聞社のスピリッツだと思っている。現在は高齢者の見守りや防災・減災活動にも力を入れ、「toC」から「withC」への転換を掲げ、地元と一緒に地域課題に向き合っている。「C」はカスタマーの意味で、一般的には顧客というが、読者への情報発信だけでなく、地域の皆さんとともに喜怒哀楽を共有しながら、不可欠な存在を目指していきたい。
太田 これまでの議論をふまえ、甲南大と神戸新聞社の連携でどのようなことができるのか意見を聞かせてほしい。
小原 いけばなは華道、新聞は報道で「道」が付く共通点がある。道は技術のみを極めることを目的とするのではなく、心の鍛錬を積むことだと解釈している。心の鍛錬とは人と人が出会い、学びが生まれ、伝わっていく過程にあり、新聞の役割もそこにある。一方、大学は知を探求し集積する場。二つが融合することで地域に多様な場が生まれ、活性化につながるはずだ。
高田 コンテンツができても発信するメディアが必要だ。神戸新聞社には兵庫県内だけでなく他府県、海外にも発信してほしい。
阪本 電子版の「神戸新聞NEXT」を活用しながら県外、海外に発信していきたい。神戸新聞社は地域の課題を行政、大学、企業などとともに解決し、初めは小さい円を動かし、それが広がって最終的に大きな同心円になることを目指している。今夏の参院選から18歳以上が投票できるようになり、大学生の意識啓発や知識向上への取り組みに、新聞を教材にした授業ができればいいなとも思っている。
太田 西村教授にまとめをお願いしたい。
西村 百聞は一見にしかず。現場へ行けば課題と答えが必ずある。課題を発見するには問題意識が、解決には論理的思考が重要だ。新聞社と連携することによって、現場の観察や検証、そして情報発信をサポートしてもらうことができる。大学と地域社会が連携を進めるには、地域側は学生に何をしてもらいたいのかを明確にし、大学は自身が持つ「知の情報」を正確に継続的に地域に提供していくことが求められる。そして、新聞社には「民産官が踊りやすいプラットホーム」をつくってほしい。ニュースとして伝えるだけでなく、追跡して結果も伝えてほしい。何より三者それぞれにとって楽しくなければ続かないことを強調しておきたい。
【出会いと革新に期待 交流会に100人参加】
シンポジウム終了後、交流会が甲南大のグローバルゾーン「Porte(ポルト)」で開かれ、甲南大と神戸新聞社の関係者、自治体関係者ら約100人が参加した。
冒頭、神戸市の鳥居聡副市長が「神戸市が策定した2020ビジョンのテーマは、若者に選ばれるまち、だれでもが活躍できるまちだ。そのためには出会いとそこから生まれるイノベーションが重要。その意味でも今回の連携協定はとても心強い」とあいさつ。甲南学園の〓沢英成理事長は「ミディアムサイズの総合大学を掲げる甲南大と、伝統的で力強いメディアである神戸新聞社が連携する意義は大きい」と期待を述べた。
(注)〓は「吉」の「士」が「土」
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