エッセー・評論

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 9月の末まで夏の気配が残っていたが、ここ数日、急に冷え込んできた。夏に就職の内定通知が一つももらえていない大学卒業予定者がまだ4割ほどいると報道されたが、こちらの冷え込みはどうなのだろうか。

 百近くの企業に登録し、炎天下したたり落ちる汗を拭いながらそのうち二、三十の企業を面接試験のために訪れ、そして結果、内定がゼロ。「シューカツ」の研修を受け、感覚にぜんぜん合わないスーツに身をくるみ、媚(こ)びるかのように必死で心のしなをつくる…。若いひとたちのそんな姿を想像するのは、なんともしのびない。高度成長期の中学生の集団就職では、家計を支える、家族のために口減らしをするといった理由を子ども心に知るところがあって、送りだす家族の「すまない」という気持ちをしかと汲(く)みえたが、いまはそうした背後からの支えも、企業からの迎えもない。

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2012/10/27
 

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