共生の大地へ 没後1年・内橋克人の歩いた道
(5)90年代不況の帰結 働く者の尊厳見据えて
「私たちは、いつ、どこで踏み迷ったのだろうか」。阪神・淡路大震災から3年たった1998(平成10)年。21世紀の入り口を前にして内橋克人さんは問いかけた。この年、刊行を始めた全8巻シリーズ「同時代への発言」の初巻「日本改革論の虚実」の一文だ。「いま、世紀末の森のなかで日本人は途方に暮れている。社会を見舞う“まさか”の異常時でさえ、いまは日常のものとなり始めた。日本経済の迷走を前に多くの日本人は辛(つら)く苦い呟(つぶや)きを心にくり返している」
■被災地の全日本化
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