ひょうご経済プラスTOP 連載一覧 経済コメンテーター 歴史に学ぶ関西経済 <歴史に学ぶ関西経済(6)神戸大経済経営研究所准教授・高槻泰郎氏>どうする吉宗(下) 貨幣改鋳、執念の米価回復

歴史に学ぶ関西経済

<歴史に学ぶ関西経済(6)神戸大経済経営研究所准教授・高槻泰郎氏>どうする吉宗(下) 貨幣改鋳、執念の米価回復

2023.09.07
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元文小判。1736(元文元)年5月から鋳造され、以後80年間にわたって安定的に通用した(大川功氏寄贈、東京国立博物館所蔵、国立文化財機構所蔵品統合検索システム収録〈https://jpsearch.go.jp/item/cobas‐74654〉)

元文小判。1736(元文元)年5月から鋳造され、以後80年間にわたって安定的に通用した(大川功氏寄贈、東京国立博物館所蔵、国立文化財機構所蔵品統合検索システム収録〈https://jpsearch.go.jp/item/cobas‐74654〉)

 物価は上がるのに、賃金はなかなか上がらない-。現代に通じる難題に取り組んだ8代将軍、徳川吉宗の話を今月も続ける。

 年貢米を俸禄(ほうろく)として受け取り、現金に換えて生計を立てていた武士にとって、諸物価が上がるのに米価が下がることは、賃金の下落を意味した。是が非でも米価を上げたかった吉宗は、大坂の堂島米市場における投機的な取引を許容するという「毒」を飲んだ。それでも、米価はやはり上がらなかった-という話を前回紹介した。

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