ひょうご経済プラスTOP 連載一覧 経済コメンテーター 歴史に学ぶ関西経済 <歴史に学ぶ関西経済(5)神戸大経済経営研究所准教授・高槻泰郎氏>どうする吉宗(中) 世界初の市場を創設したが…

歴史に学ぶ関西経済

<歴史に学ぶ関西経済(5)神戸大経済経営研究所准教授・高槻泰郎氏>どうする吉宗(中) 世界初の市場を創設したが…

2023.08.10
  • 印刷
堂島米市場における取引の様子を描いた「堂嶌穀糴糶(どうじまこめあきない)」(大阪取引所所蔵「摂津名所図会」より)

堂島米市場における取引の様子を描いた「堂嶌穀糴糶(どうじまこめあきない)」(大阪取引所所蔵「摂津名所図会」より)

 物価は上がる一方なのに賃金は上がらない-。令和の世と同じ課題に取り組んだ8代将軍、徳川吉宗の話を続けたい。

 吉宗は、何としても米価を上げたかった。それが苦しむ武士階級を救うことになるからである。前回説明した通り、武士は年貢米を俸禄(ほうろく)として受け取り、現金に換えることで生計を立てていた。米価が下洛することは、賃金の下落を意味したのだ。

この記事は会員限定会員限定です。新聞購読者は会員登録だけで続きをお読みいただけます。