三宮・東門街。夜の街にだいぶ活気が戻ってきた。観光客の姿も目立つ（筆者撮影）

　数年前の夏、さる藩のお殿様の末裔（まつえい）を金沢の料亭で接待したことがあった。席に座るやいなや女将がやってきたが、挨拶もそこそこにお殿様に向かって「お宅は何万石？加賀藩は百万石ですよ」と自慢し始めたので、接待する身としては内心冷や冷やものだった。

　お高くとまった料亭だったが筆者がおおいに感心したことが一つあった。それは外からやってくる観光客と地元客との間に二重価格を設定し、地元の人に対してはかなりリーズナブルな値段で料理を提供していたことだ（当時）。地元を大切にしていたのだろう。世界の観光地では二重価格は当たり前だが、日本ではまだまだ珍しかったので驚いた記憶がある。