時流を見る眼
<時流を見る眼(9)ジャーナリスト・井上久男氏>グローバル・ニッチ
家電や自動車などの新製品が出る場合、一般的にメーカーは上流段階で企画、デザイン、設計し、まずは開発試作してある程度の形にしていく。そこから量産しやすくするために形状や部品を変えるなどの設計変更を行う場合もある。技術革新が進んでさまざまなアイデアが誕生する中、いかに素早く「形」にできるかが企業の競争力を左右する時代になった。
そこで存在感を示しているのが社員わずか約40人の佐藤精機(姫路市)だ。「素材や形状を問わず何でも精密に削れる」ことを武器に、開発試作だけに限らず、高精度さが求められる特注品対応にも強みを発揮している。川崎重工業、神戸製鋼所、三菱重工業、日産自動車などの大企業が困った際に佐藤精機を頼る傾向がある。産業用ガスタービン部品や建設機械用の油圧部品、航空機部品のほか、半導体材料のシリコーンを加工する際に使う誤差1ミクロン以内の円盤テーブルの加工などを手がける。防衛関連の加工が難しい部品にも対応する。
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