六甲台遠望
<六甲台遠望(6)神戸大・橋野知子教授>起業家精神 世界的企業に見る挑戦の気概
日本語英語ではアントレプレナーシップと呼ばれるが、元々の語源の仏語アントルプルヌールシップ(起業家精神、企業家精神)という言葉には、スタートアップ企業を興すような気概や実行力だけでなく、既存の企業のなかで生み出される革新も含まれている。
この言葉から私が一番に想起するのは、世界的企業であるセーレン(福井市)の会長兼CEO・川田達男氏である。1962(昭和37)年の入社当時から、社内で異端者扱いされつつも、川田氏は委託加工が本業だったセーレンの「常識」を覆し、原料糸から最終製品の生産・企画・販売という一貫生産、つまり繊維産業の「非常識」を実現してきた。私は幸いにも、セーレンの社史編さんにかかわることで、川田氏のアントルプルヌールシップを学ぶ機会を得た(「希望の共有を目指して セーレン経営史」、2015年)。
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