六甲台遠望
<六甲台遠望(4)神戸大・橋野知子教授>真の「女性活躍」 ジェンダー教育の充実を
神戸大学の経済学部生の男女比は、現在7対3くらいである。戦後、新制大学になって女性にも門戸が開かれた。1954(昭和29)年の神戸大学経済学部の卒業生は124人。そのうち女性はたったの1名だった。七十余年かかった結果としても、123対1からみたら長足の進歩ではないだろうか。女子というだけで入試のハードルを上げていた大学が問題となったが、逆にハードルを下げたらどうなるか。このような介入は大きな社会問題となるだろう。
実のところ私は「女性活躍」という言葉が昔から苦手であった。「女性活躍」があるなら、「男性活躍」という言葉もあってしかりだと思うし、そもそもインクルーシブ(全ての人を分け隔てない)社会を目指すなら女性も男性もないだろう、というのが持論だ。しかし今、皆があえて「女性活躍」と声高に叫び、女性活躍の指標の向上を目指さなければならない理由が、たくさんある。日本の将来のためにも、それが表面的ではなく、中身を伴うものであってほしいと願うのは、私だけではないはずだ。
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