六甲台遠望
<六甲台遠望(5)神戸大・橋野知子教授>ゼミナール コロナで気づく「集合」の価値
2020年春から始まったコロナ禍で、大学での学びのあり方は大きく変わった。「オンライン講義」という、これまで体験したことのない授業形態に教員も学生も挑戦した。大急ぎで、スタッフが大学の情報システムを整備した。特に現在の3回生(大学3年次)は、大学4年間の約半分をオンライン講義で勉強してきたことになる。ようやく本年度になって、対面の通常講義が可能となってきた。彼(女)らにとっては、失われた2年間かもしれない。不運を嘆くより、必死で努力して、ロスした部分を取り返してほしい。
大学には大教室の講義だけではなく、ゼミナールあるいはゼミと呼ばれる少人数の研究指導がある。大学によって制度は異なるが、神戸大学経済学部では、2回生の後半に3回生から卒業まで所属するゼミに応募し、選考の結果、所属が決定する。学ぶ内容は、ゼミによってさまざまで、私のゼミでは近代・現代の日本経済史に関する本や論文をみなで輪読するかたわら、四回生の終わりに提出する卒業論文を念頭に、一人一人が3回生の半ばごろから卒業論文のテーマを探し始める。
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