ひょうご経済プラスTOP 連載一覧 経済コメンテーター 六甲台遠望 <六甲台遠望(3)神戸大・橋野知子教授>情報の非対称性 制度設計、普段の監視を

六甲台遠望

<六甲台遠望(3)神戸大・橋野知子教授>情報の非対称性 制度設計、普段の監視を

2022.06.23
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持続化給付金の申請サポート会場に掲げられたのぼり。コロナ禍で苦境に陥った業者の支援策として導入された(2020年)

持続化給付金の申請サポート会場に掲げられたのぼり。コロナ禍で苦境に陥った業者の支援策として導入された(2020年)

 政府に全くお金がないということを自覚しよう。かつての安倍晋三政権下、国民1人一律10万円が給付されたとき私は受け取りを辞退した。このお金は自分の納めた税金、あるいは将来の世代に借金を背負わせることによってばらまかれたという思いが拭えなかったからだ。いわば未来からのお金だ。そして何よりも本当にお金が必要な人に対して手を差し伸べる制度でなかったことも大きかった。将来世代への借金を増やしたい人はいないだろう。

 政府の観光支援事業「Go To トラベル」の資金を負担しているのも同じである。コロナ禍の持続化給付金の実情はどうだろう。100年に1度のパンデミックで影響を受けなかった業種はほとんどない。つらい時間を過ごしている人たちがたくさんいる。倒産や廃業をしなくても、何とか持ちこたえるようにという急ぎの「善意」のもと、できるだけ早く現金が口座に振り込まれた。あの安倍元総理が「性善説」に立って早急に人々を助けるという意図で簡素化された仕組みが作られた。

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