時流を見る眼
<時流を見る眼(2)ジャーナリスト・井上久男氏>トヨタ最高益の真実 問われるいっそうの企業努力
トヨタ自動車が11日に発表した2022年3月期決算の営業利益は前期比36%増の2兆9956億円となり、6年ぶりに過去最高を更新。日本企業として現時点では最高となった。円安の追い風はあったものの、コロナ禍や半導体不足など経営環境が厳しい中、その逆境を逆手にとって増益にした、したたかさと企業努力が垣間見える。
増減益の理由を見ていくと、円安の影響で6100億円の増益となったが、鉄やアルミ、希少金属など原材料費の高騰で6400億円もの減益となり、為替効果が消された。それでも過去最高益を確保できたのは、「営業面の努力」で8600億円の増益となったからだ。これには半導体不足で新車の供給量が落ちたことで、在庫が減って需要が勝り、販促費や値引き額が減少したことによる効果が大きく影響している。
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