ビジネスマン必読! 指揮者の組織論
(31)第9を聴きながら「わたしは何に向いていますか?」を振り返って
わたしがこのコラムを書き始めた最初に取り上げたテーマは、「わたしは何に向いていますか?」でした。それから長い間おつきあいいただきましたが、とうとう今回が最終回になりました。最終回は、ベートーヴェンの第9になぞらえてお話をしてみようと思います。
ベートーヴェンが第8番の交響曲を書いてから第9番まで、12年間もの空白の時期があります。その間には、恋人との別れや家族の離散があり、耳はほとんど聞こえなくなっていました。ゴミ屋敷の物置小屋のような部屋に住みながら、絶望的な苦悩の中から生み出したのは、「激しく分断された世界を再び結びつけ、すべての人々は兄弟となれ」というメッセージを、人間の声で直接伝えることでした。交響曲で初めて人間の声を使った第9は、今や日本の年末恒例行事になっていますね。
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