ひょうご経済プラスTOP 連載一覧 コラム けいざいeyes ビジネスマン必読! 指揮者の組織論 (20)失って初めて気づくこと-オプティミストになるために-

ビジネスマン必読! 指揮者の組織論

(20)失って初めて気づくこと-オプティミストになるために-

2019.10.30
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 最近、ふとした瞬間に、自分の人生について考えることが多くなりました。若いころは猪突猛進で、周囲の反応を伺いながらも、大胆に行動していましたが、歳を重ねて考え方も行動も穏やかになったのかもしれません。「すたすた歩く」から「階段でつまずく」へ、そして「平地でもつまずく」と、体も衰えてきました。目も見えにくくなり、スコアの音符を読むのにも、眼鏡をかけるのか外すのか考えなければならなくなりました。音楽も、大きい表現に向かうようになってきました。ところが逆に感性は鋭くなってきて、少しの音程のずれにも敏感に反応するため、演奏者は大変です。自分のことながら、同じ人間なのにこんなに求める音楽が変わるのかと感慨深くもなります。

 それから、若いころには、「いつでもできる」、「それが当たり前」と思っていたことが、実は普通ではなかったのだと気づくようになりました。周囲がどれだけサポートしてくれているのか、自分が周囲によってどれだけ活かされているのかの気づきです。そして、自分の無知や傲慢によって失ってしまった人やものの大きさに愕然とするのです。失う前にわかっていれば、と思うのですが、失ってみて初めて気づくことばかりです。人はみな、このような失敗を繰り返していくのでしょうか。母を亡くし、父を亡くした現在、両親の存在の大きさに気づかされ、家族や仲間を大切にしようという気持ちも大きくなりました。

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