ひょうご経済プラスTOP 連載一覧 コラム けいざいeyes 投資のプロが斬る!これでいいのか日本経済 (11)株式投資の勧めⅡ

投資のプロが斬る!これでいいのか日本経済

(11)株式投資の勧めⅡ

2018.11.28
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 前回に続き、証券会社を経営する筆者が株式投資を勧めることは手前みそで恐縮なのだが、ひとりでも多くの方に資産としての株式投資の優位性を理解していただきたいので、「株式投資の勧めⅡ」を書くことにした。

 前回は、経済学者のマルクスやピケティの主張を通して株式投資の優位性を浮き彫りにしたつもりだが、今回は実際の数字を分析して説明してみたい。まず総務省統計局「家計調査」のデータより作成した、一世帯当たり年間収入について2011年度を100として指数化し、2017年度と比較すると2ポイント減の98であった。かたや企業の純利益は、日経平均株価指数に採用されている225社のうち、決算を過去6年さかのぼれない5社を除いて同じように2011年度を100とした指数と2017年度を比較すると218ポイント増の318であった。比較した6年間で世帯収入は見事に横ばいであったが、大手企業の純利益は3.18倍に達している。この期間には政権交代が行われ、金融政策の変更から過度のドル安円高に修正が加わり、経営環境が劇的に改善している。しかし、その副作用として預貯金金利はほぼゼロに低下し、一般家計の金融資産は果実を生まなくなった。大手企業から賃金を受け取っている労働者は年収増となっているはずであるが、そもそも資本金10億円以上の大手企業に所属する従業員の数は、全労働者の16%に満たない人数であるため、全世帯の年収にはあまり影響していないものと思われる。また、この6年間に消費者物価は5%上昇しているが、消費税の増税分3%の影響が大きく、大手企業従業員以外の家計には少なからず負担増となっているはずだ。

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