ひょうご経済プラスTOP 連載一覧 コラム けいざいeyes 投資のプロが斬る!これでいいのか日本経済 (8)世界的大転換期2

投資のプロが斬る!これでいいのか日本経済

(8)世界的大転換期2

2018.08.15
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 前回、米国におけるポピュリズムの台頭とその背景に触れてみた。世界には、選挙によってポピュリズム政権を誕生させる民主主義国家があるのに対して、選挙によらず一党独裁政権によって運営されている国家もある。中国、ベトナム、北朝鮮、サウジアラビヤなどが思い浮かぶが、中でも中国の存在が一際大きく、その影響力は決して無視できない。かつて中国が清という国名であったころ、一時は世界のGDPの4割を生産した超大国であったという話もあるが、その後は、アヘン戦争・日中戦争による国土の荒廃・植民地化、そして共産国家として、東西冷戦時代には経済の停滞を経験している。ソ連邦崩壊時には、次は中国とまで言われていた。

 この中国が経済大国として復興し、比較的短期間で日本経済の2.5倍にまで巨大化した背景には、西側欧米諸国の思惑があったことに疑う余地はない。過去半世紀にわたり、欧米諸国は中国の変化を信じて疑わなかったのである。西側諸国、特にスーパーパワーを持つ米国は、通商・金融・軍事・文化・イデオロギーなどあらゆる面で交流を深めれば、中国は改革・開放の名の下に、次第に欧米化すると信じていた。数々の優遇措置により、1980年代以降、目を見張るような経済成長を遂げつつあった中国に対し、1990年代には最恵国待遇を与え、2001年には世界貿易機関(WTO)への加盟をも認めた。方やこの頃の中国は、まさに羊の皮を被った虎のように振舞っていた。経済開放・人民開放・社会主義市場経済をスローガンとして、表面的には、欧米の期待に応えていたのである。

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