投資のプロが斬る!これでいいのか日本経済
(10)「株式投資の勧めⅠ」~マルクスとピケティ
証券会社を経営する者として、甚だ口幅ったい表題で手前味噌と揶揄(やゆ)されることは承知の上だが、あえてこの時期に株式投資の効用を論じ、日本人の株式投資に対する既成概念に一石を投じたい。
我が国では、世間一般的に「株」という名詞に続く言葉は「に手を染める。」「に手を出す。」などで、非合法な行為、例えば、麻薬や賭博に続く言葉と同様である。また、日常的に何の疑いも不安もなく自身の銀行口座に余剰資金を預けている人々に、筆者は配当利回りの高さから銀行株への投資をお勧めするのだが、返ってくる言葉は「怖い」である。そして、政治家は、株式を保有することが、まるで悪いこと、疾(やま)しいことのように認識している節が見受けられるのである。これらの言動や反応から、我が国においては、株式投資に関して何かしら特有の理解や感情が存在することは明らかである。いつごろから、なぜこのような概念が発生し定着していったのかは分からないが、少なくとも先進国、特に資本主義国の中では日本だけに見られる現象のようである。
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