投資のプロが斬る!これでいいのか日本経済
(7)世界的大転換期
先月、米朝首脳会談が行なわれた。条件は付いているが、朝鮮半島を非核化することで合意している。しかし、具体的にいつから、どのような方法で着手するのかは不明である。この交渉は、平和への第一歩に見えるのだが、半面、過去65年間米国が温存していた東アジア秩序の転換点でもある。この会談に前後して、北朝鮮に厳しい経済制裁を課していた中国が、金正恩・朝鮮労働党委員長を三度も呼んで今後を話し合い、ロシアは外相を派遣した。東アジアの新秩序を巡り、周辺国がその覇権を画策しているのである。我が国は、北朝鮮との間に直接的な利害があるにもかかわらず、米国の後ろで模様眺め、いかに拉致問題が政局を左右するかと考える前に、いかに新・東アジア秩序にコミットするかを考えねばならないのではないだろうか。
さて、このコラムを書き出して、はや8カ月が経過している。第一回目に書いた、世界的な秩序が転換期を迎えていることを筆者は日増しに感じている。1980年代以降の世界秩序が自由・平和・協調を基本理念としていたことに対し、ここ10年ぐらいの出来事は、不寛容・利己・排他という発想が傾向になっているように思われる。この大転換は何によってもたらされているのか。今回は、典型的な事例として、現在多くの先進国に見られるポピュリズム政権を観察してみたい。中でもトランプ大統領を生んだ米国の理由をここでは大まかではあるが大局として考えてみたい。
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