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 神戸をめぐる映画のお話を、またひとつ。近年の神戸で撮影された作品のなかでも突出して印象深かったのは、濱口竜介監督「ハッピーアワー」です。看護師、学芸員、専業主婦とタイプの違う仲よし4人組の女性の日常とそこに生じるさまざまな出来事を静かに凝視する作品ですが、なんといっても驚きは上映時間で2回の休憩をはさんで5時間17分もあります。しかしこの長さにひるむことはありません。大作娯楽映画にあるような大事件は何ひとつ起こりませんが、人物の感情の移ろいと人間関係の変化を地震計のように繊細にキャッチしてゆく演出はまるで観る者を飽きさせない。

 しかも俳優たちはワークショップで選ばれた無名の新人たちですが、みんな色が付いていないだけにその行動も予測できない(しかも4人揃(そろ)ってロカルノ国際映画祭で最優秀女優賞を獲(と)ってしまうなんて、まるで映画のような展開になりました)。そして彼女たちが暮らす日常には常に神戸の風景が映りこむのですが、他の神戸を舞台にした作品のように定番の神戸らしい景色が採用されているわけでもないところが独特でした。

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2021/12/10
 

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