女性社長が行く ものづくりって面白い
(8)ぶっつけ本番社長業~私の事業承継(後編)
創業社長である父の死去により、経営のことも事業であるソフトウェアのことも分からずに副社長に就任、その一年後には社長に就任しました。やむを得ない状況での承継のため、後継者としての心構えも、経営者としての教育もないままでしたから、実践と勉学を同時並行で行わなければなりませんでした。特に事業が分からないにも関わらず、会社の銀行借入金の個人保証をするのは、最も不安だったことのひとつでした。
副社長就任と同時にまず、社内すべての伝票に3か月間かけて目を通しました。経理担当者がすべての伝票を科目ごとに集計し、財務諸表を毎月作成しますが、私は学生時代に得た多少の簿記知識を駆使し、自分なりに財務諸表の一部をエクセルで作成してみました。お金の流れからさまざまな動きを把握するのが目的です。見事に数字は合いませんでしたが、エクセルに伝票を入力していくことで、例えば、社員の出張費用精算書からは担当する取引先やそこへの訪問頻度が分かりました。また取引先別の売り上げや毎月かかるさまざまな費用など多くの情報を知ることができました。
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