町医者としてこれまで関わった在宅患者さんは3000人以上になる。半数はがん患者さんで、半数は老衰や認知症や腎不全や肝不全などの臓器不全症。あるいは人工呼吸器をつけたALS(筋萎縮性側索硬化症)などの神経難病や医療的ケア児だ。認知症や加齢による疾患の大半は外来通院から自然に在宅医療に移行した人が多い。一方、がん患者さんや呼吸器がついた方の多くは病院からの紹介である。患者さんや家族のご指名だったりケアマネさんからの紹介だったりもする。
末期がんの方は、ほぼ全員が最期まで関わることになる。その期間は平均すると1カ月半と僅(わず)かである。1週間に医師が最低1回、看護師が3回訪問するのが基本形であるが、状態が不安定であれば毎日でも、朝夕でも訪問するし、真夜中に往診することもある。一方、老衰などでは医師の訪問頻度は月に1~2回であとは訪問看護師や介護士に任せっきり。
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