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 毎年1月17日が近づくと胸がドキドキする。あの日の記憶が鮮明に蘇(よみがえ)るからだ。あの朝、神戸市灘区の古いマンションの5階にあったオモチャのように歪(ゆが)んだ部屋で飛び起こされた。慌てて外に出た時、なぜか傘を持っていた。マンションの壁から出た埃(ほこり)を雨だと勘違いしたのだ。

 通勤路はすべて通行不能なので車を置いて職場の市立芦屋病院まで1時間歩いた。倒壊家屋を横目にしながら病院がどんな状態か心配だった。外来周辺は怪我(けが)人で溢(あふ)れ、不謹慎な表現かもしれないがまさに修羅場だった。その時から数日間、まさに不眠不休で我を忘れて負傷者の処置にあたった。完全に孤島と化した被災地のど真ん中の病院に、外部の医療機関から救いの手が入ったのは地震発生からピッタリ24時間後だった。この24時間にあった数々のドラマは一生忘れない。子供の遺体に接した瞬間、嗚咽(おえつ)で我に返ったことも。

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2023/1/16
 

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