友達と話していて、「体が資本」という表現は不思議だという話題になった。この言葉が世間一般の会話に現れる時、「体が資本、だから大切にしよう」という意味で使われることが多いと思う。わざわざ「資本」という言葉を使うわけだし、色(いろ)んな意味を重ねることができそうだが、あまり聞いた記憶がない。体力と資本は大切に守るばかりではないだろう。資本に融資や増資があるように、運用対象として体力を考えてみるのは面白いかもしれないと思った。
大切に守る側面ばかり健康について考えていると、不安になる場面が多い。持病や体質が悪くならないように気をつけたり、加齢に伴うリスクを減らそうとしたり、勝てない相手に防戦一方で抗(あらが)う印象すらある。その防戦も、できるだけ元気に歳を取っていく上ではたしかに重要だ。しかしそれだけでなく、野心的な体力の運用もあれば「攻勢」の要素も加わり、自分の場合は楽しいムードに変えられそうだ。とにかく「老いながら、しょんぼりして厄介な健康問題に対応していく」という風には捉えたくない気持ちがある。
この記事は会員限定です。新聞購読者は会員登録だけで続きをお読みいただけます。