ここ数年で一番、自分のためにお金を使って嬉(うれ)しい気持ちになったのは、語学学校の授業料だった。欲しいものを買ったり、珍しい場所に旅行に行ったり、自分を喜ばせる方法は色々あるが、習い事がこんなに嬉しい気持ちになるものだとは知らなかった。
僕が36歳で通った学校には、自分の半分の年齢の人もいたし、ずいぶん上の人もいた。出身もバラバラで、数十の出身国の人と会った。できないことをゼロから試していく自分を日々見守る体験が、とても貴重だった。別に成績が悪いと困るわけでもないので、どんなに自分が失敗したり遅くても、いくらでも許してあげたり励ましたりできる。
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