朝の冷たい空気を感じながら職場に向かっていると、人々が散歩を楽しむ様子が目に入った。景色を眺めながらゆっくり歩く高齢の方、防寒服を着せた愛犬を連れている御婦人、吐く息を白くさせながらジョギングしている男性など。なかでも夫婦で仲良く歩いている姿は、歩き方もペースも同じで感心した。まさに琴瑟相和(きんしつあいわ)す、息の合う様子がうかがえた。
私たちの脚の長さは人によって異なるが、並んで歩くと歩幅が自然に揃(そろ)う。これを歩行同期という。当たり前のようだが、運動調節の細部が協調しないと、こうはならない。研究によると、そこには気持ちの影響もあるという。つまり気持ちが合っているほど、歩行はきれいに同期する。だから、並んで歩く姿は、二人の関係を表しているといっていい。
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