コロナ禍を通して考えさせられたことの一つに、人との距離感がある。私はカフェなどで席と席との間が狭いと、どうも落ち着かない。隣の人の様子が気になって、目の前の相手に集中できないのだ。ふだんはできるだけ端に座るようにしているが、混雑しているときには、やむなく両隣に挟まれて、身を縮めて過ごすことも多かった。
人との距離を置くソーシャルディスタンスは、状況を一変させた。まず座席が間引かれ、店内が広々とした。「それだけで、気持ちがこんなにのびのびするのか」と、新鮮に感じた。また、飛沫(ひまつ)防止のアクリル板が両隣を遮へいするように置かれていると、隣と接近していても平気に感じられた。透明な板は、気持ちを遮ることにも一役買っているのだろう。
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