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 先日、加古川総合文化センターでワークショップ「さわる世界旅行」を担当した。僕は「触」を主題とする体験型のイベントを全国各地で実施している。今回のタイトルには二つの意味がある。「さわる・世界旅行」=さわることを手段とし、世界の民具・楽器などを体感する。「さわる世界・旅行」=さわらなければわからない豊かな世界があることを実際に手で確かめる。民具・楽器の背後には、それを創り使い伝えてきた人がいる。物にさわれば者の存在を感じることができるのが僕のワークショップの特徴といえる。

 加古川のイベントでは、僕の手持ちの民具・楽器に加え、センターが所蔵する資料を使わせてもらうことになった。加古川周辺から出土した土器や瓦、酒造りなどの地場産業に関わる道具は、まさに土地の手触りが伝わってくる資料である。僕も「播磨国風土記」の現代語訳を読んで予習に励んだ。これまで僕は、「目に見えないもの=風」と「目に見えるもの=土」が相互作用することで風土が形成されると考えてきた。加古川のイベントを通じて、僕の風土論は深化した。風とは、その場に行かなければ実感できないもの。土とは、温度・重さなど、見た目に惑わされず、さわって確認すべきもの。こう定義すると、コロナ禍の状況下で僕が対面のワークショップを続ける意義が明確となる。

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2022/8/30
 

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