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 「昼食が終わったころに迎えにきます」。女性職員が配膳を手伝ってくれて、僕は胃に優しい食事を味わう。ここは大阪市内の大きな病院。毎年6月に、僕は人間ドック健診を受けている。定期的な健康診断は大切だが、ベルトコンベヤー式でさまざまな検査室を回る人間ドックは愉快なものではない。血圧・血糖値が年々上昇し、体重が高止まりしているのも、僕を憂鬱(ゆううつ)にさせる原因だろう。

 ところが、じつはこの人間ドック、僕が文字どおり「人間」として生きている、生きていけることを確かめる貴重な機会でもある。人間ドックに通うようになって、もう20年。今年も、病院の入り口から手伝い・手助けのリレーが始まる。まず、守衛さんが4階の人間ドック受付まで案内してくれる。健診センターのスタッフは異動も多いが、どうやら全盲者が単独で来ることが申し送りされているようで、スムーズに僕を更衣室、検査室へ誘導する。半日の健診の間、僕は何人もの方から手伝い・手助けしてもらう。人の手とは温かいものだと実感する。

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2022/6/27
 

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