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 「今の子どもは『耳なし芳一』を知りませんよ」。昨秋、『音にさわる』という絵本を作る際、編集者にこう言われた。僕は現代版「耳なし芳一」、耳を引きちぎられた後の芳一の物語を描く絵本を構想していた。しかし、芳一を知らなければ、続編といっても受け入れられるわけがない。結局、「さわるくん」という主人公が五感を駆使して春夏秋冬を味わうストーリーに落ち着いた。大学の授業で尋ねても、「耳なし芳一」を知らない学生が多いことに驚く。昔話、民話が日本人の生活から遠くなっていると実感させられる。

 先日、日本昔話学会の大会で講演した。聴衆は研究者、幼児教育の現場で読み聞かせに取り組む方々である。僕は芳一に関する持論を展開し、「目に見えない怨霊と自由に交流できる芳一の能力は本来、日本人の多数が保持していたもの。コロナ禍の今こそ、目に見えぬウイルスと共存する知恵を芳一に学ぶべきだ」と力説した。

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2022/7/12
 

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