小学校の教科書に「4拍子は強・弱・中強・弱」とあったと記憶しているが、今もあるだろうか。あれは実に正しい。国や時代にもよるが、同じ4分音符でも小節内の場所によって強さ・長さが変わるヒエラルキーがあった。また、不協和音は強くそれが解決する協和音は弱いという、自然に基づく鉄則もある。では弱拍の不協和音はどうするか?というところで議論は百出、音楽は楽しくてやめられない。
時代が下ってそれらの不文律(・・・)はだんだん忘れられ、アクセントやf(フォルテ)・p(ピアノ)等記号が楽譜に溢(あふ)れるようになった。昔の人は感情の起伏が少なかったなどということは断じてないが、バッハは記号をほとんど書かず、チャイコフスキーはfを四つ、pを六つも(表現として)書いた。昨今の作品では記号の付かない音符がほとんどないこともある。
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