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 とかく音楽家は好きなことを仕事にしている気楽な人間、と思われがちである。まあ嫌いな人はいないと思うが、それは他の仕事でも同様ではなかろうか。もっとも、とある有名な寿司屋で魚は一切食べないという板前に会ったことはある。

 寿司も音楽も鮮度が肝心。寿司屋は寿司を食わなくとも務まるが、音楽の場合、第一の聴き手は本人である。自分の準備、何度かの練習や会場練習等を経て、ようやく1回の演奏に至る。もちろん演劇等でも同じことだが、驚く場面、感動する場面などを毎回「初めてのように」新鮮に演じるのは容易(たやす)くない。名曲は芸術的〝栄養素″たっぷりだが、それだけに演奏回数も多く、「運命」「新世界」などの〝定番″は大抵の音楽家が数え切れぬ程弾いている。好きなだけでは到底叶(かな)わず、作品の深い理解と、聴く者の心理を推し量る一種の計算が必要である。

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2021/11/15
 

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