「ふるさとは帰るところにあるまじや」のはずが、約半世紀を経て神戸で仕事をすることになった。街を歩けば坂道や御影石が懐かしく、時にはタイムスリップしたように感じることもある。
私の子供時代の東灘・住吉川は、山を削った土を海へ運ぶトラックの轟音(ごうおん)と共にあった。久元市長の書かれた絵本「ひょうたん池物語」の背景も似たようなものではなかったか。埋め立てた先の○○アイランドを知らないわけではないが、ちょっと異国のようである。百万$の夜景の海岸線も随分様変わりしてしまったが、それでも山は北、海は南で「迷えない街」であることは今も変わらず、風に乗って潮の香りがすればほっとする。
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