ローマ帝国時代の哲学者セネカは、若者は「幸と不幸を行き来しつつ」「その双方を軽蔑している」という言葉を残したとされる。若者特有の無頓着さへのわずかな嫉妬も感じられるが、真面目さが足りないことへの批判とも読める。「今どきの若者は」という批判は誰もが口にしたことがあるのではないだろうか。
ドイツでは近年、若い人たちは政治に関心がなくなり、時流とメディアに倣うばかりと嘆く声を聞く。少し前、関西の重度障害者施設で1年間のボランティア活動を行う3人のドイツ人の若者を訪ねる機会があった。彼らは日本への憧れや共感からボランティアに応募し、高校や大学を卒業後、日本にやってきた。一刻も早く仕事を始めてキャリアを積む代わりに、まず人の役に立つことをしようとしたのだ。
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