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久元喜造神戸市長 成田健吾さん 中川悠美さん 植田結衣さん 神戸空港島での1泊2日「避難所体験」 全市で行われた「シェイクアウト訓練」=1月15日、神戸市中央区
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久元喜造神戸市長

成田健吾さん

中川悠美さん

植田結衣さん

神戸空港島での1泊2日「避難所体験」

全市で行われた「シェイクアウト訓練」=1月15日、神戸市中央区

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久元喜造神戸市長

成田健吾さん

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植田結衣さん

神戸空港島での1泊2日「避難所体験」

全市で行われた「シェイクアウト訓練」=1月15日、神戸市中央区

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■久元喜造・神戸市長と委員会メンバー座談会

神戸市長 久元喜造氏

兵庫県立大学4年 成田健吾さん

関西学院大学3年 中川悠美さん

神戸女子大学3年 植田結衣さん

 阪神・淡路大震災の教訓と記憶を次の世代に引き継いでいくことを目的に、神戸市と神戸新聞社が昨年夏から共同で取り組んでいる「117KOBEぼうさいマスタープロジェクト」。活動を担う委員会メンバーの大学生は、地域の防災リーダーとしての知識を備えた「117KOBEぼうさいマスター」の取得や、プロジェクトを通じて学んだことを発信するワークショップなどに主体的に取り組んできた。プロジェクトに携わって感じた思いや、震災をどのように継承していくかについて、久元喜造神戸市長と語り合った。

▼久元氏 一斉訓練に34万人参加

▼成田さん 若者から防災・減災発信

 久元 阪神・淡路大震災では神戸市内だけで4571人の方が犠牲になった。同時に助かった方も大変苦労しながら、ともに助け合い、励まし合って神戸の街をよみがえらせてきた。その中で、人間は一人では生きていけないということを学んだ。孤立している人、孤独を感じている人とどう向き合って、顔の見える地域社会をどう作り上げていくかが今の神戸に求められている。また、誰もが神戸でこれほど大きな直下型地震が起きるとは思っていなかった。未知の分野は大変多いけれども、想像力をたくましくして、どのような災害が起きるか、災害が起きたらどのような状況が生じるかを想定し、計画を立て、それぞれの立場で準備をし、備えをみんなで共有していくことが大切。だからこそ、皆さんの取り組みは大変意義があると感じている。

 成田 委員会の活動を通じて同世代の若者の中にも防災にこんなにも興味がある人がいるのかと驚いた。若者からも防災・減災について発信できるという明るい未来を想像できた。

 植田 私はワークショップを通じ、他人に知ってもらおうと思えば、まず私たち自身が知識を持っていなければならないことを痛感した。

 中川 イベントやワークショップでは、防災についての知識を持ってもらおうという姿勢で臨んだつもりが、むしろ参加してくれた方から災害時の貴重な話を聞かせてもらい、すごく有意義な時間だった。

 久元 ワークショップで発表し、一緒に作業することで、いろいろな気づきが得ることはとても大事だと思う。神戸市は1月15日に「シェイクアウト訓練」(「どこでも」「だれでも」「気軽に」参加できる一斉防災訓練)を実施し、34万人もの方が参加した。東日本大震災の時、私は前職の総務省でものすごい横揺れを感じた。事務室に行くと、職員が倒れそうなロッカーを押さえていたので、すぐに机の下にもぐるよう怒鳴った。とにかく自分の命を守ることが一番。だからこそシェイクアウト訓練はすごく大事だと実感している。

 成田 私はJR三ノ宮駅のエレベーターを下りたロータリーのところでシェイクアウト訓練に参加した。電車が通る駅が倒れてきたら全員下敷きになってしまうと感じ、広いところに出てしゃがまないといけないのでは、と感じた。

 中川 手軽に参加できるというところがすごくいいなと感じた。もっと頻度を上げて、神戸市にとどまらずいろいろな地域に広がってほしいと思った。

 植田 気軽に参加できる訓練だったのですが、一方で参加している人の緊迫感が足りないなとも感じた。災害はどこで起きるか分からないので、その場所で自分はどうするべきかを考えて日々行動できるようになれば、訓練の意味はさらに大きくなると思った。

▼中川さん 自助と共助の意識育む

▼久元氏 未来志向の対策が重要

▼植田さん 地域のつながり大切に

 久元 地震だけでなく、津波、火山噴火、台風、ゲリラ豪雨による土砂災害など、私たちは近年多くの災害と向き合ってきた。その備えを常に意識しておくことが大事。私は災害時に「自助、共助、公助」が大事だということを話している。この言葉を使う時は、行政ができることは徹底的にやる、という基本姿勢があって初めて、皆さんに自助の取り組みをお願いできるということを常に自戒しなければいけないと思っている。自助というのは、例えば緊急事態が発生した時に、感覚を研ぎ澄ませて瞬発的にどう最適な行動が取れるかということ。行動力、好奇心、学ぶ意欲がある皆さんは、同時に感性も磨いてほしいと思う。

 中川 避難所体験で暗闇の中で1人30分間過ごす経験をした時に、言いようのない不安、心細さ、そして恐怖を感じた。小、中学校での避難訓練は、震災を経験していない自分にとっては、一つの行事のようなもので、自分の生活にあまり必要あるものと感じられなかった。委員会の活動に携わることで、やっとスタートラインに立ったと感じている。

 植田 私は小学生の時、豊岡で大きな台風被害を受けて避難したことがある。その時に避難所で周りの方に助けられたことがあって、共助の大切さを思い出した。私の田舎も過疎化が進み、高齢者が増える中で地域社会の密接なつながりが大事になってくると思っている。

 久元 今後はどんな活動をしていきたいと考えていますか。

 植田 私は教職を目指していて、早く子どもたちに防災教育をしたいと思っている。行政としても学校で防災を学ぶ機会をぜひ増やしてほしい。

 成田 委員会のワークショップだけにとどまらず、多くの学生と横のつながりを持ち、大学や地域とネットワークを作って活動を続けていきたいと思っている。

 中川 私たちの役割は、あくまでも伝え手であって、震災を経験された方と経験していないこれからの世代の「つなぎ目」でなくてはいけないと思っている。自らが主体となって防災を学ぶ「防災マスター」をさらに増やすことで、自助、共助の気持ちも育っていくのではないかと考えている。

 久元 皆さんには委員会活動を通じて得た知識や経験を正しくしっかりと受け継いでもらうとともに、もし同じようなことが起きた時に、新しい発想や情報技術(IT)などのテクノロジー、共助の取り組みによって、もっと良い方法で人を救う、炊き出しが楽になる、物資が運びやすくなる、といった「未来志向の防災・減災対策」を考えていってほしいと願っている。

2015/3/6
 

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