粋々農業女子
【10】地域の田畑家族で支える トップフィールド(南あわじ市)堤真名美さん(31)
「ほら、そこにテントウムシがいるよ」。小学4年の長女梨々愛(りりあ)さん(9)、1年の長男暉龍(きりゅう)君(6)と畑に出掛ける。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休校措置が続く。子どもたちと過ごしながら働けると、前向きに考えている。
もともと看護師。救急病棟の担当で、早朝に朝食を作って出勤し、帰宅は深夜だった。2年前に辞め、夫の直也さん(33)が営む自営農に加わった。「以前は子どもたちの寝顔ばかり見ていた。今は子育てを楽しめる」と笑う。
結婚は2011年。直也さんは兵庫県南あわじ市内の自動車整備会社勤務だった。13年夏、仕事の傍ら野菜を作っていた直也さんから、「会社を辞めて農業に専念したい」と打ち明けられた。
当時は長男を妊娠中。頭に浮かんだ農業は、収入が安定しないだけでなく、『きつい』『汚い』『危険』の3Kだった。「最初は大反対。でも決心が固くて。ダメだったら看護師として支えればいいと腹をくくった」と、振り返る。
田畑ごとの土壌分析に基づく土作りや有機肥料を使った農業を拡大した。現在、アルバイトを含めて8人を雇い、経営面積は12ヘクタールを超える。「トップフィールド」の屋号で、大阪や神戸などの外食卸やスーパーなどに年間レタス約250トン、タマネギ約120トン、水稲約9トンを販売する。
忙しく働く夫。高齢農家が「うちの田んぼもやってほしい」と次々に訪れた。「地元の人間にしか農業は守れない」との思いが強まり、病院の退職を決めた。
農業経営に理解を深めようと、昨年度、県が開く「ひょうご農業MBA塾」に通った。「地域を支える人を増やしたい。若い人たちに来てもらい、育て、淡路を元気にしたい」。人づくりも目標になった。(山路 進)
=おわり=
【メモ】南あわじ市西部の漁師の家で育った。今年2月、苗植えから担当した新タマネギを収穫。「かがみ続けて腰も痛くて思ったより大変」