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粋々農業女子

【5】夫婦で就農、有機で多品種 コムズファーム(丹波市)小村香織さん(48)  

2019.10.22
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消費者に選んでもらえる野菜をと少量多品目の有機栽培に取り組む小村香織さん=丹波市春日町中山

消費者に選んでもらえる野菜をと少量多品目の有機栽培に取り組む小村香織さん=丹波市春日町中山

 木曜午後にJR大阪駅北のうめきた広場で開かれるマルシェで、夫の晋さん(49)と店を構える。有機で育てた旬の野菜でいっぱいのワンボックスカーで約1時間半。「お客さんの『おいしかったよ』が元気の源」と白い歯を見せる。

 芦屋、神戸の街中で育った。専門学校で設計を学び、住宅メーカーなどで一戸建てや庭、橋りょうの図面を引いてきた。

 10年ほど前、会社勤めだった晋さんが「農業したいねん」と一言。数日後、神戸市北区淡河町の市民農園のチラシを見つけ、迷わず2人で申し込んだ。地元農家の指導を受けながら、トマトとパプリカを1列ずつ育てると夏には大豊作。幼いおいっ子が満面の笑みで丸かじりする姿に「純粋な子どもたちを喜ばせたい」。仕事にしようと決めた。

 だが、続く冬のハクサイやキャベツは大失敗。親戚に農家はおらず「土づくりもそのタイミングも、栽培のことは何も知らなかった」と笑う。本や雑誌を片手に農園で4年間、農業を独学。「野菜栽培士」の資格も取った。

 神戸・元町での就農フェア。出会った丹波市職員の案内で、農地を訪ねた。南にそびえる三尾山が淡河町から見える六甲山に重なった。丹波で盛んな有機農業なら「食の安心、安全をアピールできる」と、今の土地での就農を決意。貯金などで準備した約700万円を手に、2014年1月に移住した。親方農家で3年間研修し始めた同年、コムズファームを立ち上げた。

 ほ場は、地元農家から借りる計約1ヘクタール。露地の有機栽培のため病害虫被害を軽減しようと、レタス9種、大根6種など夏、冬で200を超す多品種を育てる。「温かい多くの人に出会えたからこそ。1日中、夫と2人。お互いに新しい発見の毎日ですよ」(山路 進)

【メモ】神戸市灘区から移住。地元や加古川、神戸の飲食店や個人に野菜を届ける。ホームページやフェイスブックで農場の様子を発信する。