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粋々農業女子

【6】5児の母農地年々拡大中 なちゅらるはーもにー(丹波篠山市)湊友加さん(44)

2019.11.26
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黒く色づき始めた丹波黒のさやを手にする湊友加さん。奥には大きく育ったパパイアの実も=丹波篠山市垣屋

黒く色づき始めた丹波黒のさやを手にする湊友加さん。奥には大きく育ったパパイアの実も=丹波篠山市垣屋

大きく育ったパパイアを手にする湊友加さん=丹波篠山市垣屋

大きく育ったパパイアを手にする湊友加さん=丹波篠山市垣屋

 兵庫県の丹波篠山、丹波市の計約30ヘクタールで、水稲や特産黒大豆の丹波黒、野菜などを育てる農業法人なちゅらるはーもにー。その代表として、夫と両親、従業員2人、パートの6人を率いる。

 1999年、結婚を機に会社を退職。同じ頃、建設会社を兄に引き継いだ父が、母が続けてきた約50アールの畑仕事に合流した。「家庭菜園ぐらいなら」と両親を手伝うつもりで加わった。

 それが2年後には、本格的に農業に取り組もうと、両親と同法人を設立。「これからは女性の時代だ」と父に背中を押され、25歳で代表に就いた。「男性ばかりの農業でやっていけるのかな。でも面白そう」。不安と好奇心とが入り交じる中でのスタートだった。

 近くの農地を借り、生ごみから作った堆肥で野菜を栽培。水田の雑草防止に米ぬかをまくことにも挑戦した。遊休地の耕作依頼を引き受けながら、黒大豆や枝豆、大納言小豆、山の芋、ブドウと品目を増やしてきた。農地は10年で約20ヘクタールに拡大。忙しさから夫も会社を辞め、ともに汗を流す。

 「何度もやめたいと思いましたよ」と笑う。法人化の前年に生まれた19歳の長男を筆頭に、11歳の三男まで3男2女の母でもある。収穫ケースの中で子どもを遊ばせつつの作業の日々。思春期には「仕事の方が大事なんやろ」と言われ、衝突もした。悩みを抱えながら市内の農業女性グループを訪ね、「母親世代の先輩たちに救ってもらった」。

 耕作地の拡大とともに黒字になり始めたが、2年前の豪雪でハウスが倒れ、約60本のブドウが全滅。それでも「天候に負けない農業にしないと」と前を向く。今年始めた青パパイアは秋、20センチ前後の実を付け、地元や神戸に出荷。「黒大豆や山の芋と同じように篠山の特産に育てたい」と目を輝かせた。(山路 進)

【メモ】黒大豆や山の芋はJAや直売所などに出荷。パパイアは野菜として卸した。来年はハウスで黄色く完熟させ、果物での販売も目指す。