大阪の人はケチだと言われる。がめつく値切るし、安く買ったものを自慢する。「関西人=ケチ」と、一括(ひとくく)りにされた京都人や神戸人は眉をひそめている。
大阪料理は「始末の料理」とも称される。例えば鯛(たい)は造りにするのはもちろん、頭はあら炊きに、骨でだしを取り、ウロコやヒレは唐揚げに、内臓も余さず料理する。勘違いされることも多いが、この根底にあるのは大阪人のドケチ精神や出し惜しみではない。まず、上質な素材でなければ一尾を食べつくすことなんてできないだろう。消費期限ギリギリの魚や、そもそも手当ての悪い魚では、とても内臓や骨の髄までいただこうという気にはならない。また、各部位に最適な調理を施す技術も手間も必要。一級品を生かし切る、じつはとても粋(すい)で贅沢(ぜいたく)な料理なのだ。
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