大会社の副社長であるKさんは、碁を打っていると、とことん優柔不断である。盤上に、石は置くけど手は離さず、うろうろ熟考すること20分。さすがに私が打とうとすると「おっと、やっぱり」と、そちらに石を置き換える。こんなにブレブレで、経営判断は大丈夫だろうか?と心配になってしまう(笑)。
一方、高級クラブのママさんは、超がつくほど早打ちで、うっかりすると、私が石を置く前に次の手が飛んでくる。対局中、この石はあきらめて下さいと言うと「わー! お母さんが悪かったわ。ごめんね~」と黒石にペコリ。弱い石を攻めてください、と言うと「弱い者いじめするなんて、かわいそう」と眉を下げる。大きな地が囲えるとうれしそうだが、相手の地がもっと大きいことには、ビックリするほど無頓着だ。囲碁は本来の性格が出るのか、そうでないのか、棋風は人それぞれで、だからこそおもしろい。
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