戦時中、中学生だった父は空襲で2人の妹を失った。2009年に『ヨーロッパの100年』の著者ヘールト・マックさんと神戸での講演にご一緒した際、お茶の席で母がマックさんに、祖母から聞いたその日の父の様子を語った。わたしもはじめて聞く話から、少年の深い悲しみが伝わってきた。
父には子どもの時から理不尽なことでよく怒られ、むずかしい親子関係がつづいた。亡き妹のようなかわいい子ではなく憎まれ口をきくわたしへの失望もあっただろう。
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