たつの市にある霞(か)城館(じょうかん)での「三木露風コンサート」の演奏依頼を受けて21年目になる。最初に、露風の詩による山田耕筰の歌曲を紹介したのだが、それは彼が、露風の詩集「廃園」を携えてドイツに留学し、多くの詩に作曲を試みたからである。
次に露風が早稲田詩社で出会った相馬御風(ぎょふう)、野口雨情といった詩人たちの歌、露風が愛読した「海潮音」(上田敏訳)のヴェルレーヌの原詩に作曲したフォーレやドビュッシーの歌曲も紹介した。そして、「白露時代」を築いた北原白秋の詩による歌の数々。彼の不遇の時期にも露風は常に寄り添ったことが手紙に残されている。また、北海道のトラピスト修道院で過ごした4年の間に、夫妻は洗礼を受け、「野ばら」や「赤とんぼ」が生まれた。
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