「安川加壽子生誕100年記念演奏会」を聴く機会に恵まれた。安川先生は日本の代表的なピアニストであると同時に、訳書「メトード・ローズ・ピアノ教則本」で日本のピアノ教育界にフランス音楽のメソードを紹介し、多くのピアニスト、教育者を育ててこられた。
フランス歌曲を専門分野としている私は、安川門下の素敵(すてき)なピアニストの方々に伴奏していただく機会が多く、先生の残された大きな宝物にあらためて気づき、触れさせていただいた演奏会であった。プログラムはまず、1950~60年代の子どもたちの発表会の再現として、小学3年生から中学3年生までの孫弟子さんたちが、東京文化会館小ホールで満席のお客様を前に、臆することなく、のびのびとバロックから近代に至る小品を聞かせてくれた。
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