過労死という言葉が出てきて四十余年。いまだに過労死や過労自殺が解決できない。この疲労研究は、本来、どの学問・研究分野でなされてきたのだろうか。そのひとつは“心理学”だ。今から百余年前の1912年、原口鶴子はコロンビア大学・ソーンダイク先生のもと疲労研究で博士号を取得した。わが国では最初の女性博士号取得者。いま疲労の心理学研究を想起すべき時である。
心理臨床の学会系から輩出された臨床心理士は随分いる。しかし、過労死・過労自殺者は止まらない。現行の臨床心理士育成の教育課程において、産業に関する講義群は十分なものだろうか? たとえ産業心理学が講義されていても、その内容はヒト対ヒト心理学にとどまり、ヒト対モノ心理学が不足していないだろうか。
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