私は生まれつき目が悪かった。しかし実家近くの眼科のおかげで、いまではメガネがなくても生活できるほどに改善した。実はその眼科医は絵師・河鍋暁斎(かわなべきょうさい)のひ孫にあたる。そんなこともあり目が見え始めたころから暁斎の絵をみることになる。ご存じの通り妖怪画の達人だ。
妖怪話では、よく器物百年魂を得るといった話が出てくるが、その絵師の影響だろうか、実家にはやけに大きい雛(ひな)人形や、ブータンの首飾りなど、どちらかというとガラクタよりの骨董(こっとう)があり、それらに囲まれて過ごしてきた。今でも古いものには特別な感情をいだく。現代の喧騒から身を遠ざけてくれる大切な役割がある。
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