私の師匠内海カッパは今宮エビス師匠と漫才を組んでおりました。だから私は漫才師の弟子なのです。でも漫才はしたことがありません。ある日、「英華、音楽ショー組んだらどないや」「師匠! 吾妻ひな子師匠みたいに三味線漫談してもいいですか?」「お前のやりたいようにしたらええがな。漫才は教えるモンと違うからなあ」
何となく楽なように聞こえますが、教えてもらえないことほど大変なことはありません。まだ入ったばかりの世界ですべて自分の判断で動かないといけないからです。もちろん先繰り機転! 気が利かないと使ってもらえません。「あの子どこの子? よう気が利くねえ!」。こうでないと先輩やお客さまにもかわいがってもらえません。
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