自分の歩んできた過程を振り返ると、ずいぶん回り道をしてきたし、音楽への向き合い方、ピアノ奏法の捉え方が、これで良いのか不安に感じることは今でもある。
東京芸術大音楽学部付属音楽高等学校へは作曲科で入学した。作曲の勉強もしていたし作曲科に入ればピアノも勉強できるだろうと考えたが、作曲法の宿題が多くピアノの練習時間は十分とれなかった。SF映画にハマって電子音楽などの新しいサウンドに興味の対象が移ってしまったのも事実。しかし電子音楽の制作には途方もない資本が必要とわかる中、作曲家になる、という選択肢は頭から消えていき、SF作家になるかピアニストを目指すか、という夢が残ったが、現実は厳しかった。
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